第13節/肝疾患による障害
肝疾患による障害の程度は、次により認定する。
認定基準
肝疾患による障害については、次のとおりである。
令 別 表 障害の程度 障 害 の 状 態 障 害 の 状 態(例示) 国 年 令 別 表 1 級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの 下記の検査成績及び臨床所見のうち高度異常を3つ以上示すもの又は高度異常を2つ及び中等度の異常を2つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの 2 級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 下記の検査成績及び臨床所見のうち中等度又は高度の異常を3つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの 厚 年 令 別表第1 3 級 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの 下記の検査成績及び臨床所見のうち中等度又は高度の異常を2つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
肝疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。
肝疾患での重症度判定の検査項目及び臨床所見並びに異常値の一部を示すと次のとおりである。
検査項目/臨床所見 基準値 中等度の異常 高度異常 血清総ビリルビン
(mg/dℓ)0.3~1.2 2.0 以上3.0 以下 3.0 超 血清アルブミン
(g/d ℓ)
(BCG 法)4.2~5.1 3.0 以上3.5 以下 3.0 未満 血小板数
(万/μ ℓ)13~35 5 以上10 未満 5 未満 プロトロンビン
時間(PT)(%)70 超~130 40 以上70 以下 40 未満 腹 水 ― 腹水あり 難治性腹水あり 脳 症(表1) ― Ⅰ度 Ⅱ度以上
表1 昏睡度分類
昏睡度 精 神 症 状 参 考 事 項 Ⅰ 睡眠-覚醒リズムに逆転。
多幸気分ときに抑うつ状態。
だらしなく、気にとめない態度。あとで振り返ってみて判定できる。 Ⅱ 指南力(時、場所)障害、
物をとり違える(confusion)
異常行動
(例:お金をまく、
化粧品をゴミ箱に捨てるなど)
ときに傾眠状態(普通のよびかけで開眼し
会話が出来る)無礼な言動があったりするが、他人の指示には従う態度を見せる。興奮状態がない。
尿便失禁がない。
羽ばたき振戦あり。Ⅲ しばしば興奮状態またはせん妄状態を伴い、反抗的態度をみせる。
嗜眠状態(ほとんど眠っている)。
外的刺激で開眼しうるが、他人の指示には従わない、または従えない(簡単な命令には応じえる)。羽ばたき振戦あり。
( 患者の協力がえられる場合)
指南力は高度に障害。Ⅳ 昏眠(完全な意識の消失)。
痛み刺激に反応する。刺激に対して、払いのける動作、顔をしかめるなどがみられる。 Ⅴ 深昏睡
痛み刺激にもまったく反応しない。
肝疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。
一般状態区分表
区 分 一 般 状 態 ア 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など ウ 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの エ 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの オ 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの